奨学金の応募書類(作文やエッセイ)の書き方のコツ<基本編>:初級者向け

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 奨学金に応募する際に、エッセーや作文を課題として提出しなければならないことがあります。では、それらはどのようにして書けばよいのでしょうか。この記事では、 受かるための書き方のコツや、 これをやったら落ちる可能性が比較的高いという失敗の説明を教えます。

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 奨学金の作文は二種類に大別できます。
1,特定の問いや質問に答えるもの(たとえば、「今後の福祉業界にとってなにが重要な課題になるかを答えなさい」など)
2,特定の問いや質問がないもの(自己PRや志望理由書など)

 以下では、まずこれら2つに共通する書き方のコツを示します。これらは初歩的な内容です。その後で、それぞれの書き方のコツをより詳しく示します。

目次(クリックすると移動できます)

共通するコツ(初級編)

1,これらの作文や小論文などの目的をしっかり認識する

 その目的は、応募中の奨学金にとってあなたがふさわしい人物だと審査員に納得させることです。審査員があなたを合格させたいと思わせることです。この点をしっかり理解しましょう。

 エセーなどの目的は、奨学金の審査員の立場からすれば、次のとおりです。すなわち、他の応募書類(成績証明書など)では知ることができないあなたの資質や特徴をしっかりと知ることです。

 さらに、あなた自身が自身の考えや個性をしっかり伝える能力を持っているのかチェックするためです。これが審査員側の視点からみた志望理由書などの役割や目的です。
 したがって、あなたがた応募者は志望理由書などによって、その目的を上手に達成することが求められます。これができれば、受かる確率が上がります。


 より具体的に説明しましょう。あなたは希望する奨学金に応募する際に、どんな書類を提出しますか?審査員はそれらの書類を全て読みます。それらの書類に書かれていることは、志望理由書などで繰り返す必要がありません。その代わりに、それらの書類に書いていないことを志望理由書などで補足したり、新しい情報を書いたりするのです。


 たとえば、あなたは成績証明書を提出しますか?もしそうであれば、審査員はあなたの成績についてだいたい理解できます。よって、あなたは志望理由書などで成績について述べないようにしましょう。
 あなたはこれまでの実績のリスト(ボランティア活動など)について提出しますか?もしそうだとして、ボランティア活動などについて詳しく説明したい・補足したいことがありますか?もしそうなら、志望理由書などで補足説明をしましょう。特に説明が不要なら、実績リストの内容は触れずに、ほかの内容を書きましょう。

2,思考がよく整理された分かりやすい文章を書く

 そのための具体的な方法は次の項目で説明します。

 その大前提として、思考をしっかりと整理してから、文章を書き始めましょう。なにを論じるべきかがはっきりわかっていない状態で書き始めるのはやめましょう。 

3,文法ミスや誤字脱字などをしっかりチェックする

 これも基本的なことです。誤字脱字などのミスがないよう気をつけましょう。エセーを書き終わった後に、何度も読み直します。ミスが完全になくなっっていることを確認しましょう。

4,提出課題のルールをよく確認し、ルールをしっかり守る

 これは基本的なことです。たとえば、字数が1000字までと決められているなら、必ず1000字以内にしましょう。ルールを守ることは最低限必要なことです。守らないと、もしエッセイの内容がよくても、落とされてしまいます。

5,初対面の人に分かるように書く

 奨学金の審査員はあなたのことを知りません。その人に分かるように書きましょう。
 たとえば、あなたがボランティア活動での自分自身の成長について書くとしましょう。

 ほかのボランティア・メンバーであれば、いつもボランティアでなにをしているか知っていますね。よって、あなたが先週のボランティア活動の内容を休んだメンバーに教える場合、説明することは少なくてすみます。
 しかし、審査員はあなたの普段のボランティア活動について知りません。よって、なんのボランティアなのか(地域の掃除とか、外国人への支援とか)、あなたがどのくらいの頻度で参加しているのかなどを、審査員は知りません。初対面の人に伝わるように書くには、このような基本的な情報から書くことになります。

6,簡潔に書く

 書くことが見つからない。そう思う人は、余白を埋めようとして、余計なことを書こうとします。簡潔に書けることを、ダラダラと長く書いてしまいます。これは不合格になる典型的なパターンです。
 シンプルに書けることはシンプルに、簡潔に書きましょう。
 書くことがないと思うのは、準備が足りないからです。準備を早めに始めれば、書くことは見つかります。

7,奨学金を提供する団体の目標を知っておく

 その団体がなぜ奨学金を設立したかを知るとよいです。なぜなら、奨学金の目標は奨学金の審査員があなたのエセーを審査する基準になるからです。
 審査あるいは採点の基準を知ることは、合格する上で明らかに重要です。あなたのエセーの内容がこの審査基準に合致するように書きましょう。
 たとえば、経済的に困窮する優秀な学生を支援することが目標だとしましょう。その場合、あなたがどれほど奨学金を経済的に必要とし、学業で優秀かをアピールすることになります。
 ただし、日本国内の奨学金によっては、目標が示されていないこともあります。

8,最終的には肯定的な内容にする

 あなたの失敗を書くのは悪いことではありません。しかし、最終的にはマイナスの内容で終わるのではなく、必ずプラスの内容にしましょう。
 たとえば、「こういう困難を抱えていたが、そこから●●を学んだ」、とか。あるいは、「貧しさは●●をする上で足かせになってきた。だが、ハードルがあったほうがやる気がでる。よって、貧しさは闘志の源になっている」など。

9,一通り自分で書いたら、他の頼れる人に読んでもらい、内容をチェックしてもらう

 読んでいて伝わりにくい部分など、問題点を指摘してもらいましょう。チェックしてもらう人は学校の先生などがよいでしょう。
 その際のポイントです。チェックする人にも、「奨学金を提供する団体の目標」を伝えておきましょう。すなわち、その奨学金の審査基準を教えておきましょう。あなたのエセーがこれに合致しているかどうかを判断してもらいましょう。

思考がよく整理された分かりやすい文章を書く方法(基礎編)

  上述の9で述べたように、思考がよく整理された分かりやすい文章を書くことが重要です。学術的な文章を書くスキル(技能)を高めましょう。そのの基礎的な方法をここでは説明します。その前に、なぜこのスキルの習得が重要なのかを簡単に説明します。

なぜ学術的文章のスキルは重要なのか

1,奨学金や大学入試の応募書類に役立つから

 このページを見ている人の多くは、奨学金の応募でエセーや小論文が必要な方でしょう。大抵の場合、字数は400−2000字程度です。それほどの少ない字数で、自己PRなどを行い、他の応募者に勝つ必要があります。
 自分の言いたいことを分かりやすく、明確に、簡潔に書いて伝える。これを実行できる学生は多くありません。そのため、この技能を高めることができれば、その分だけ受かる確率が高まります。
 反対に、自分の言いたいことを書いて伝えることができない、長ったらしくて何が言いたいのかわかりにくい文章を書いてしまう。このような状態でありながら、奨学金の短いエセーなどで優れた評価を得るのは難しいです。
 したがって、奨学金や入試で受かる確率をあげたいなら、このスキルを高めていきましょう。

2,学業成績をあげることができるから

 学校でのレポート試験やペーパーテストでの記述問題において、苦しんだ経験はありますか?もしそうなら、その主な原因の1つはこの学術的文章スキルの低さにあるでしょう。
 たとえば、あなたがレポート課題の問いに対して、実に興味深い回答を思いついたとしましょう。しかし、レポートでその回答を分かりやすく他人に伝えることができないなら、あなたの成績は低くなります。
 学術的文章のスキルを高めていけば、あなたの回答を正確に伝えることができるようになります。よって、この問題を解決することができるようになります。
 学業成績は、しばしば、奨学金で受かるための主な条件の1つです。よって、学術的文章のスキルを高めることは、この成績アップを通して、奨学金獲得の確率を引き上げてくれます。

学術的文章スキルの高め方

 では、具体的に何をすればよいのか。ここでは初心者向けに、基礎的な内容だけ教えましょう。

1,一つの文章では、言いたいことを1つだけ書く

 これは「一文一義」と呼ばれることもあります。一つの文章で、言いたいことをたくさん詰め込まないようにしましょう。読者はあなたが何を言いたいのか理解しにくくなるからです。
 一つ一つの文章はシンプルにしましょう。言いたいことを一つに絞って、一つの文章にします。そのような文章を複数つないでいくことで、より大きなことを論じるのです。

2,(文章力が高まるまでは)長い文章は書かない

 文章力の低い人が長い文章を書こうとすると、様々な問題を引き起こしやすくなります。たとえば、一つの文章に言いたいことを複数詰め込んで長くなった文章では、何が言いたいのかが伝わりにくくなります。
 ほかの問題として、主語と述語がズレた文章を書いてしまうかもしれません。たとえば、次のような文章です。
「彼の希望は、猫の鳴き声を上手に真似ることができる兄弟たちと一緒に住むのは大変だけれども来年こそ実現したいです」。この場合の主語は「希望」であり、述語は「(したい)です」となっているので、主語と述語が噛み合っていません。
 この場合、たとえば、「猫の鳴き声を上手に真似ることができる兄弟たちと彼が一緒に住むのは大変です。しかし、彼の希望はこの同居を実現させることです」とすれば、問題が解消されます。
 これらの問題を回避するために、長い文章は書かないようにしましょう。短めの一文一義の文章を重ねていきましょう。

3,使用する語句の意味をよく考えて使う

 文章をつくるときに、使用する語句の意味に注意深くなりましょう。語句の選び方が雑になってしまうと、文章の意味が曖昧になります。あるいは、あなたの意図を正確に伝えることができず、誤解されてしまいます。
 たとえば、「青森のリンゴは香りが芳醇で甘く、おいしい」と言いたいとしましょう。語句の選び方が雑になると、こういう言い方になるでしょう。
・「あれはいい」
→「あれ」という語句では、食べ物なのか乗り物なのか映画なのか、一体なんなのかがわかりません。改善方法として、「あれ」を「あの食べ物」や「あの果物」にすれば、「リンゴ」に近づきます。
 「いい」という語句では、どのように「いい」のかがわかりません。改善方法は「おいしい」とか「香りがいい」とすることです。

4,指示代名詞を安易に使わない

 指示代名詞とは、「これ」「それ」「あれ」などです。他人の文章を読んでいて、「この<それ>って、なにを指してるんだ??」と頭を悩ませたことがない人はほとんどいないでしょう。
 あなたの文章をを読む人もまた、同じ問題に悩まされる可能性があります。指示代名詞はできるだけ避けましょう。
 代替案として、「指示形容詞+名詞」がおすすめです。指示形容詞は「この」「その」「あの」などです。
 この方法は私自身がこの文章で何度か使用しているものです。たとえば、「青森のリンゴ」を「あれ」ではなく「あの果物」と言い換えることです。
 

5,不要な言葉は使わないようにする

 なくても意味が変わらない単語や言い回しなどは、使わないようにしましょう。もしすでに使っていたなら、削りましょう。無駄な言葉が多い文章は、読みにくくなります。

6,説明が伝わりにくいかもしれないと思ったら、具体例をあげる

 抽象的な説明だけでは読者に伝わりにくいと思われることもあるでしょう。そのような場合は、具体例をあげましょう。
 この方法は、このページで何度も使用しています。たとえば、「いい」ではなく「おいしい」とか「香りがいい」にすべきというのも、その具体例です。

7、しっかりと段落分けする

 400字程度の文章であっても、段落分けは必要です。あなたの文章の段落分けがしっかりできているかどうかを見れば、あなたの思考が適切に整理されているかどうかがわかります。
 しっかり段落分けするためには、まず、思考をしっかり整理することが必要です。思考を整理するには、ブレイン・ストーミングから始めましょう。
 ブレイン・ストーミングのやり方はいろいろあります。最も単純な方法は、次のものです。

 まず、5分間ぐらい、奨学金などのエセーの課題に関連するキーワードをどんどん書き出します。たとえば、エセーの課題が「あなたがこれまで最も影響を受けた本」なら、関連しそうな本やジャンルなど、思いついたものをすべて書きます。

 「赤毛のアン」のようなタイトルや「青春小説」のジャンルなど、思いついたものをなんでも書きます。
 次に、5分後、書き出したキーワードをグループ分けします。エセーの課題とあまり関係のないキーワードも混じっているでしょう。それらのキーワードは削除しましょう。関連するものをそれぞれのグループに分けます。
 それらのグループ分けされたキーワードをヒントにして、文章全体の構造をつくっていくことになります。より具体的な方法は次の項目でみていきます。

 以上をしっかり理解した方は、次のステップに進みましょう。具体的に、どのように自己PR等を書けばよいのか説明します。

●奨学金を希望する理由の書き方のコツはこちらへ

●学部・学校を志望する理由の書き方のコツはこちらへ

●学校で学んだことをどう社会に活かすかの書き方のコツはこちらへ

●自己PRの書き方のコツはこちらへ

◯時間をかけて、奨学金に受かる可能性を根本的に引き上げる方法はこちら

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