学術振興会の特別研究員DC1・DC2は日本の大学院の博士課程の生徒にたいする給付型奨学金のようなものです。あるいは、フェローシップです。実質的に国の制度であり、採用人数が多く、研究費をももらえるところが特徴です。
この記事では、まずこの制度の概要を説明します。次に、受かるためのコツを説明します。なお、この記事の執筆者はかつて特別研究員に採用された経験があります。その時のノウハウをここに公開してします。ノウハウだけ読みたい方は、目次からそこへ飛べます。
学術振興会の特別研究員DC1・DC2
対象者
日本の大学院の博士課程に在籍する学生(外国人含む)
DC1は博士後期課程の1年生。一貫制なら3年生
DC2は博士後期課程2年生以上。一貫制なら4年生以上
※かつてこの制度に採用されたことがある者は採用されません
採用人数
DC1:700名程度
DC2:1100名程度
審査の方式
審査の流れ
特別研究員-DC及び特別研究員-PDの選考は、関連する審査区分を組み合わせて設定されたグループ(以下「書面審査セット」(※)という。)に分かれる。
複数かつ同一の特別研究員等審査会審査委員(以下「審査委員」という。)が二段階にわたり、同じ書面審査セットの複数の申請について独立して書面による審査を実施する「二段階の書面審査」方式によって行われます。
一段階目の書面審査では、申請書類に基づき、申請者の研究能力・将来性等について評価を行い、評点及び審査意見を付します。一段階目の書面審査結果を踏まえ、採用内定数の上位80%~120%の申請者を「ボーダーゾーン」として、二段階目の書面審査対象とします。
二段階目の書面審査では、一段階目の書面審査において他の審査委員が付した総合評価の評点及び審査意見も参考に、改めて同一の審査委員による書面審査を行います。なお、一段階目の書面審査を担当した審査委員の氏名、所属、職名は、他の審査委員には提示されません。
最終的には、一段階目の書面審査結果における上位の申請者及び二段階目の書面審査結果における上位の申請者が、採用内定者として決定されます。
審査区分は学振公式ページにあります。
審査基準
(1) 自身の研究課題設定に至る背景が示されており、かつその着想が優れていること。また、研究の方法にオリジナリティがあり、自身の研究課題の今後の展望が示されていること。
(2) 学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること。
審査項目と評点のつけ方
一段階目の書面審査では、「①自身の研究課題設定に至る背景が示されており、かつその着想が優れていること。また、研究の方法にオリジナリティがあり、自身の研究課題の今後の展望が示されていること。
二段階目の書面審査では、一段階目の書面審査において他の審査委員が付した総合評価の評点及び審査意見を参考に、改めて4段階の評点(二段階目の審査の対象となった申請のうち、A:採用を強く推奨するもの、B:採用を推奨するもの、C:採用してもよいもの、D:A~Cに入らないもの)を付します。
奨学金の金額と期間
研究奨励金:どちらも月額20万円。いわば給付型奨学金に該当するものです。
特別研究員奨励費:申請した内容と金額によります。あなたの研究で利用できる研究費です。年額で最大150万円
期間は、DC1は2026年4月ー2029年3月
。DC2は2026年4月ー2029年3月。
応募方法と期間
大学を通して応募します。応募締切は大学によって異なりますので、大学に問い合わせましょう。大学から学振への応募締切は2025年6月3日です。
採用可否の結果は2025年10月頃にウェブ上で通知されます。
※海外における研究活動の奨励
最長で採用期間の三分の二の期間。実現可能性も重要。
学振DCを獲得する意義
学振を獲得すると、なにが得られるでしょうか。大別すると、3種類あるでしょう。
第一に、資金です。これは、事実上の給付型奨学金のような奨励費と、研究費の二種類です。奨励費はDCなら月額20万円です。さらに、研究費が支給されます。
第二に、研究者としてのプラスの評価です。大学や研究所などに就職しようとすれば、通常は研究計画書や履歴書などを出す必要があります。通常、学振DC・PDの経歴は履歴書でプラス評価の材料となります。もちろん、ほかの科研費をとる際にも、同様にプラスに働きます。
第三に、より多くの時間を研究にあてることができるようになります。月額で20万円が奨学金として与えられたなら、少なくとも、質素に暮せば、バイトなどをする必要はほぼなくなるでしょう。研究費もでます。それらを稼ぐために必要な時間を、すべて研究にあてることができるようになります。
学振に受かるためのコツへ
あなたの周りには、学振を獲得したことのある先輩がいて、そのノウハウを共有してくれますか?あるいは、あなたの指導教員はそのノウハウを知っていますか?知っていたとして、あなたの研究計画書をしっかり読んでちゃんとしたアドバイスをくれる方ですか?
あるいは、あなた自身が指導教員などだったとして、学生に適切なアドバイスをあげることができそうですか?
特にこれらの問いにたいして自信をもって「YES」といえない方に、私のノウハウ記事は役立ちます。このノウハウ記事は、どちらかというと、学振獲得のために孤軍奮闘している方々を応援する意図で執筆しました。逆境の中でも学振DCが獲得できるよう、ぜひ参考にしてください。
学術振興会の特別研究員DCの申請書の書き方のコツ:受かるには
以下では、 受かるための書き方のコツや、 これをやったら落ちる可能性が比較的高いという失敗の説明はを説明します。
まず知っておくべき前提と研究計画書全体に関する助言
学振の審査員が置かれている状況を知っておきましょう
あなたの申請書を読むのは主に大学教員の研究者の方々です。ほとんどの研究者は普段から教育や研究、大学行政や雑務などで大忙しです。自分のための研究に使える時間が全体の10%もないという方も少なくないでしょう。
そのような状況で、学振DCやPDの審査員の仕事が割り振られてきます。それぞれの審査員に大量の申請書が割り当てられます。そのため、審査員は非常に限られた時間の中で大量の申請書を読みこなし、採点していくことになります。
内容面だけでなく形式面も重要
したがって、申請書は読みやすく分かりやすい文章にすることが重要になってきます。読みにくい文章や意味が判然としない文章は斜め読みされていくでしょう。
形式面も重要です。字が小さすぎたり、行間がつまりすぎていたりすると、実質的にマイナス評価になる可能性があります。あなた自身がいろいろなタイミングで、自分の作成途中の申請書をざっと読んでみましょう。読んでいてイラッとしたところは改善したほうがよいです。
冒頭から読み始めて、形式や内容がうまくいっていない申請書は、最後まで読んでもらえないでしょう。この点では、学振の申請書は一般の論文と同じ運命にあるといえるでしょう。
形式面で工夫をしましょう
分かりやすく、ストレスなく読める。そのための工夫をしましょう。典型的な工夫を2つあげましょう。
第一に、分かりやすい図の挿入です。あなたの研究計画の特に重要な部分について、ひと目見てわかるような概念図などを使うことが推奨されます。ただし、分かりにくい図は逆効果です。
ちなみに、図を挿入しなくても受かることはできます。効果的な図を挿入できそうなら挿入する、ぐらいでも大丈夫です。
第二に、重要な部分に太字や下線を使用することです。教科書でよく見られるように、大事な部分をこのように強調しましょう。
ただし、太字や下線をあまりに多用すると逆効果です。どこが重要なのか不明になってしまうからです。
多くても、太字や下線の部分は一つの段落の三分の一以下になるように抑えましょう。それらの部分だけ拾い読みしたら、研究の概要がわかるようになるくらいがちょうどよいです。
もしあなたがパラグラフ・ライティングで書いているなら、トピック・センテンスだけが太字になるくらいの感覚です。
そのほか、見出しも適宜使用しましょう。
審査員がどんな方々かをだいたい把握しておきましょう
学振DCやPDの応募書類は数名の審査員によって審査されます。審査員がどんな専門の方々なのかは、過去のデータが公表されています。興味と時間があれば、みてみるとよいでしょう。
さらに、あなたが応募する分野では、どのような専門の研究者が審査員になるかもだいたい分かります。そのリストが公表されているからです。
たとえば、DC1の社会学関連であれば、社会学や社会福祉学、家政学や観光学そしてジェンダー関連が審査セットとなっています。審査セットはこちらで確認できます。興味と時間があるなら、確認してもよいでしょう。
ここで重要なのは、あなたの応募書類の審査員グループの中には、あなたの研究に精通した専門家といえる方が通常は1−2名程度しかいないということです。その他は、周辺領域の研究者です。
したがって、審査員グループの大半は周辺領域の方々である可能性が高いです。周辺領域といっても門外漢ではないというべきでしょうが、それはあなたの研究内容にもよってきます。あなたの応募する審査セットとの相性次第ともいえます。
いずれにせよ、周辺領域の先生方が読んでもしっかりと伝わるような書き方にする必要があります。たとえば、専門用語をどれだけ使うかといった問題がでてきます。使わざるを得ない専門用語を使う場合には、簡潔な説明を付加しましょう。
同時に、専門家が少なくとも一人は審査員にいることも留意しましょう。よって、専門家が読んでも読み応えがあると同時に、周辺領域の研究者にも理解できるような書き方が求められます。
研究計画書を一通り書いた後に、周辺領域の先生に読んでチェックしてもらうとよいでしょう。
研究計画の書き方のコツ
ここから、申請書の研究計画に入っていきましょう。なお、学振が申請書の中で示している指示については、「」で引用して示しています。
「 (1) 研究の概要及び研究の位置づけ 本項目は1頁に収めてください。」
「 ・まず、研究課題名及び研究の概要を500字程度で記入してください」。
・研究の概要は研究計画の全体がしっかりと出来上がるまで、完成させることはできません。当面は放置しておいてよいです。研究計画の7割ぐらいがみえたら、試しに概要を書いてみましょう。10割が完成した後に、概要も完成させましょう。
・研究の概要は非常に重要です。概要という申請書の最初の部分がうまくいっていないと、後の部分がほとんど斜め読みされてしまう可能性すらあるからです。論文の序論がとても重要なのと同様に、この申請書においても冒頭の概要がとても重要です。最初の印象が悪いと取り返せない可能性がありますので、概要は完璧につくりあげましょう。
※形式面として、小見出しをつけましょう。
たとえば、
【研究課題名:海洋資源の概数を正確に把握するアプローチ】
【研究の概要】
本研究では、・・・(以下、概要の中身)
「 ・続けて、特別研究員として取り組む研究の位置づけについて、当該分野の状況や課題等の背景、並びに本研究計画の着想に至った経緯も含めて記入してください。 」
この部分は、いわゆる先行研究の整理にあたる部分です。論文では、序論にあたる部分です。
全体の流れとしては、こうなります。
1、あなたが専門とする研究分野において、従来の研究は何を明らかにしてきたか、論証してきたか。
→先行研究の功績を示す部分です。これまでの研究者たちが当該分野でどこまで知識を確立してきたのかを説明します。現状、すでに何がどこまでわかっているのか。
その際に、なぜそのような研究が重要なのか、意義があるのかも伝わるように書きましょう。周辺領域の先生方に、あなたの研究が重要だと思わせるためです。
論文を書いているときにも実感していると思いますが、あなたの研究の意義を明示することは非常に重要です。それを周辺領域の方々にも伝える際に、この先行研究の整理が鍵となります。
あなたの研究はこの先行研究を乗り越えるものなのですから、乗り越えるべき対象がつまらないものだったとしたら、あなたの研究もたいしたことがないということになります。よって、周辺領域の方々に、そもそも先行研究の成果が重要なものとして認識される必要があります。そのように書きましょう。
例(架空の例です)
<近年、日本では地震の被害が増え、その規模も大きくなりつつある。そのため、地震学では地震予測の方法を開発しようと懸命に研究がなされてきた。その結果、現時点では2つの予測方法が有力なものと考えられてきた。
一つはこれまでの地震の歴史に基づく方法である(山田 2020)。もう一つは人工衛星による地表の測定に基づく方法である(Becker 2022)。
(以下、続く)
(※このブロックの末尾で、文献情報をまとめて提示します。論文の文末注のようなものです)
山田太郎(2020)『歴史に基づく地震予測の改良方法について』●●出版社
Becker (2022)・・・>。
※実際の本文中では、当然ながら、<>は不要です。ここでは、便宜的に、例文の範囲を示すために<>を使っています。
2,従来の研究はどのような問題をまだ解決していないか。なぜそれが解決すべき課題といえるのか。また、なぜ・どのようにしてその課題に気づいたのか(着想の経緯)
→1において、先行研究によって現状ここまで分かっているということが説明されます。2において、何がまだ分かっていないのかを説明します。
(→あなたの研究の目的は、その分かっていない(けれども重要な)ことを明らかにすることだ、という流れになります)。
あるいは、2においては、1の研究のどこに問題があるのかを示します。
(→あなたの研究の目的は、その問題を解決することだ、という流れになります)。
例
<だが、これらの方法では、海底で起こる地震の予測はほぼ不可能である。しかし、海底地震は津波を引き起こしかねない。東日本大地震のように、津波は地震の最大の災害の一つである。そのため、海底地震の予測方法をも開発する必要がある>
※上述の先行研究の文献リストは、この文章の後に書きます。1と2でセットだからです。
よって、この1ページ目の流れはこうなります。
【研究課題名:●●】
【研究の概要】
この研究は、・・・(概要を500字程度で説明)
【研究の背景】
近年、日本では地震の被害が増え、その規模も大きくなりつつある。そのため、地震学では地震予測の方法を開発しようと懸命に研究がなされてきた。(中略)東日本大地震のように、津波は地震の最大の災害の一つである。そのため、海底地震の予測方法をも開発する必要がある
参考文献リスト(←この小見出しはなくてもよい)
木村太郎(2020)『野生動物の研究』●●出版会
研究目的・内容等
「本項目は2頁に収めてください。 ① 特別研究員として取り組む研究計画における研究目的、研究方法、研究内容について記入してください。」
ここから、あなたが学振DCとして行おうとしている研究の内容の説明に入っていきます。
研究目的
形式的にみれば、あなたの研究目的は、上述の先行研究の課題や問題点を解決することです。逆に言えば、先行研究の課題と関係のない研究目的になっていないかどうか、よくチェックしましょう。
研究目的の説明では、最初の文章で、研究目的を簡潔に説明しましょう。その内容は、多少は研究の概要と重なっても問題ありません。
あなたの研究が先行研究とどのように異なり、どのような問題を解決し、よってどのように優れているのかを簡潔に示しましょう。詳細はその後に説明することになりますので、大枠だけ示しましょう。
例
【研究目的】
本研究の目的は、●●という先行研究の成果を批判的に取り入れながらも、☓☓というその深刻な問題に着目し、■■という新しいアプローチを取り入れることで、この問題の解決を図ることである。そうすることで、従来は見逃されてきた▲▲という事象をも正確に理解することが可能になる。
(そのより詳細な説明へ)
研究方法
方法の書き方については、文系と理系でかなり異なるでしょう。理系の場合、大半の論文では方法のセクションがあるでしょう。研究計画書でも、方法のセクションとだいたい同様に書くことになります。
文系の場合、論文で方法についてわざわざまとまった説明をしないことが多いでしょう。その場合、この方法の部分で何を書けばよいか分からないかもしれません。そこで、いくつかのパターンを説明しましょう。
方法として説明しやすいものとしては、アプローチの名前がついているものがあります。計量分析の「回帰分析」などです。これらの場合は、この研究方法のセクションで、どのようなデータにたいしてどのようなアプローチを用いるのかを説明しましょう。
フィールドワークも説明しやすいものの一つです。どの地域に、どのくらいの期間、なんのためにフィールドワークするのかを書きましょう。
アンケートもまた説明しやすいものです。目的や対象範囲、期間などを書きましょう。
おそらく問題を感じているのは、これらを用いずにひたすら本などを読む座学の研究者でしょう。座学の場合には、次のようなことを方法として書きましょう。
もし古文書館や博物館などの手稿資料や音声資料などを入手するなら、なんのために、どこから、どのような資料を入手して使うのかを書きます。絶版などで入手困難な史料についても、同様です。
古い一次文献が電子アーカイブで提供されているなら、それを書いてもよいです。特に、(有料の)専門的な電子アーカイブなら、書いたほうがよいです。あなたがしっかりと調べているということが伝わります。
あなたが一次文献として主に何を読む予定なのかを書きましょう。いろいろと読むことになるでしょうけれども、メインのターゲットがどの史料なのか。
浩瀚な本ならば、特にどの部分をどのような目的で、あるいは何に着目して読解するのか。定量的アプローチも組み合わせるのかどうか。
紙幅に余裕があるなら、重要な二次文献についても、同様に書いてもよいでしょう。
※ここでも、文献情報を示しながら書きましょう。このブロックの末尾で、参考文献リストを示しましょう。
研究の内容
上述の目的を上述の方法によって達成するために、なにをするのか。その概略を書きます。ただし、時系列に沿った詳しい説明(年次計画)をすぐ後で行いますので、この「研究の内容」では、概略で十分です。
「 ② どのような計画で、何を、どこまで明らかにしようとするのか、特別研究員奨励費の応募区分(下記(※)参照)に応じて、年次計画を示し、具体的に記入してください。研究計画が想定通り進まなかった場合の対応方法があれば、あわせて記入してください。」
時系列に沿って、年度順に、具体的な研究計画を書きます。
2026年度、2027年度というように、分けて説明していきましょう。
具体的に書くべきことは研究内容によって異なりますが、いくつか例を挙げましょう。
語学や研究アプローチなどを習得する必要があるなら、どのような仕方で学ぶ予定か。どこかの大学の授業や語学学校、研究所など。
なんのために、どのような研究会に参加するか。
座学であれば、なんのために、どのような本を読むかをより詳しく(参考文献リストつきで)。
研究成果をどのように発表するか。たとえば、どのような学会で研究発表する(そのための応募をする)か。どのような論文を書くか、どこに査読論文を投稿するつもりか。
学振DCに受かるコツとして、海外での研究を計画に組み込みましょう。
学振は応募要項において、明確に海外での研究を奨励しています。申請書でもこの姿勢は見て取れます。
そのため、夏休みなど短期間でもよいので、海外での研究を計画に組み込みましょう。もっとも、その海外での研究があなたの研究計画にとって有意義あるいは必要なものだとみなされる必要があります。そのようにあなた自身の研究計画を調整する必要があります。
海外での研究の目的は次のようなものがあります。海外でしか手に入らない史料の入手や調査、海外で行うべき実験や調査(アンケートやフィールドワークなど)。もちろん、若手研究者として海外の大学などで研究活動をすることも。
ほかにも、海外のジャーナルへの投稿や国際的な学会への参加(発表者であれば望ましいが、聴講者でも可)も評価が高まります。ちなみに、日本で開催される国際的学会での発表も評価が高まるでしょう。
注意点として、実現可能性がある計画にしましょう。具体的には、海外研究の予算や期間に気をつけましょう。また、自身の研究計画に合った適切な海外の研究機関などを選ぶ必要性もあります。
そもそも、どこの大学が海外での研究に適しているのか。どこが名門校としてふさわしいのか。海外の大学のレベルは偏差値ではなく、世界大学ランキングで示されています。代表的なランキングは3つあります。海外研究にふさわしいのがどこなのかを調べたい方は、次のページをみてみましょう。
研究の特色やインパクト
「③ 研究の特色・独創的な点(先行研究等との比較、本研究の完成時に予想されるインパクト、将来の見通し等)にも触れて記入してください。」
ここでは、主に3点を書きます。
第一に、あなたの研究分野におけるあなたの研究の独自性です。この点については、すでに先行研究の整理などを通して、いくらか示してきたことです。それを簡潔にまとめて示しましょう。あるいは、あなたの研究のまだ説明していない意義や独自性をここで説明してもよいです。あなた自身の研究分野の専門家の審査員が納得するように論じましょう。
第二に、あなたの研究が周辺領域の研究にもたらすインパクトです。あるいは、あなたの研究が周辺領域においてもつ意義や重要性です。周辺領域の審査員にしっかりとアピールしましょう。
そのためには、もちろん、下調べが必要です。適切な参考文献を示せば、あなたがしっかりと周辺領域も調べていると伝わります。
学振DCの審査において、あなたの周辺領域がなんなのかを事前に調べておくとよいでしょう。上述のように、周辺領域はあなたが応募申請する領域によって決まってきます。審査領域のセットはこちらのページで示しています。
第三に、あなたが本研究を完成させた後に、この研究の成果をさらにどのような方向へと発展させたいかです。言い換えれば、あなたの研究の今後の課題であり、10年間ぐらいの中長期的な研究の方向性です。
学振DCは、まさに駆け出しの研究者の将来性を評価して、合否を決めようとしています。そのため、今後の方向性についてもしっかり調べて書きましょう。
「④ 研究計画が所属研究室としての研究活動の一部と位置づけられる場合は申請者が担当する部分を明らかにしてください。」
これは理系でよくみられることでしょう。自分自身で考えるというより、指導教員にしっかりと確認して書きましょう。
「 ⑤ 研究計画の期間中に受入研究機関と異なる研究機関(外国の研究機関等を含む。)において研究に従事することも計画している場合は、具体的に記入してください。 」
上述のように、海外での研究が奨励されています。しっかりと調べて、それをあなたの研究計画に組み込みましょう。
人権の保護など
「人権の保護及び法令等の遵守への対応 本項目は1頁に収めてください。様式の変更・追加は不可です。 ・本欄には、「【2】研究計画」を遂行するにあたって、相手方の同意・協力を必要とする研究、個人情報の取り扱いの配慮を必要とする研究、生命倫理・安全対策に対する取組を必要とする研究や安全保障貿易管理を必要とする研究など指針・法令等(国際共同研究を行う国・地域の指針・法令等を含む)に基づく手続が必要な研究が含まれている場合、講じる対策と措置を記入してください。 ・例えば、個人情報を伴うアンケート調査・インタビュー調査・行動調査(個人履歴・映像を含む)、国内外の文化遺産の調査等、提供を受けた試料の使用、侵襲性を伴う研究、インフォームド・コンセントが必要な研究、ヒト遺伝子解析研究、遺伝子組換え実験、動物実験、機微技術に関わる研究など、研究機関内外の情報委員会や倫理委員会等における承認手続が必要となる調査・研究・実験などが対象となりますので手続の状況も具体的に記入してください。 ・なお、該当しない場合には、その旨記入してください」。
該当する場合には、しっかりと調べて書きましょう。この部分がずさんだと、評価が大きく下がる可能性があります。指導教員など、詳しい方にしっかりと相談しましょう。
研究遂行力の自己分析
「研究遂行力の自己分析 本項目は2頁に収めてください。様式の変更・追加は不可です」。
「 ・日本学術振興会特別研究員制度は、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的としています。この目的に鑑み、これまで携わった研究活動における経験などを踏まえ、研究遂行力について分析してください。 (注)本行を含め、以下の斜体で記した説明文は申請書を作成する際には消去してください。
・根拠となるこれまでの研究活動の成果物(論文等)がある場合には、まず成果物の一覧を掲載し、見出し番号を付してください。続く文章では、適宜成果物に言及しながら(言及の際には見出し番号で示すこと)記入してください。 ・成果物(論文等)は、それらを同定するに十分な情報を記入してください。 ・学術論文の場合: 著者、題名、掲載誌名、巻号、頁、発行年を記載し、査読の有無を明らかにしてください。投稿中で採録が決定していない場合は、「投稿中」と記載してください。 ・研究発表の場合: 著者、題名、発表した学会名、場所、年・月を記載し、口頭・ポスターの別を明らかにしてください。 【成果物一覧の例】 1.論文 ・・・・・ 2.論文 ・・・・・ 3.研究発表(口頭) ・・・・・ 4.受賞」
「・記入にあたっては、例えば、研究における主体性、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量、コミュニケーション力、プレゼンテーション力などの観点から、具体的に記入してください。また、観点を項目立てするなど、適宜工夫して記入してください。 ・今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素や意欲的に取り組みたいと考えている事項についても記入してください」。
前提として
まずこの部分を書く際の前提として、考慮すべきことがあります。学振DCは税金を財源としています。よって、応募者のあなたがわざわざ税金で育成すべき研究者なのかを見極めようとしています。
税金で育成すべき若手研究者の資質として、「研究における主体性、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量、コミュニケーション力、プレゼンテーション力」などで挙げられています。これらを併せ持つような研究者とはどのような研究者でしょうか。
少なくとも言えるのは、象牙の塔にこもって個人的な研究関心にのみ打ち込むような研究者は、ここでは求められていないということです。反対に、他の研究者とともに協力して学問を発展させていくような研究者が求められています。
そもそも、学問は研究者が単独で発展させるものではなく、学会などの研究者の共同体によって発展させるものだと考えられています。そのため、発想力や知識の幅・深さといった個人的資質だけでなく、主体性やコミュニケーション力やプレゼンテーション力も基準となっています。
さらに、研究者が大学や研究所だけで活躍するというより、日本の地域社会や全国、そして世界に働きかけて活躍することも期待されています。問題解決力が基準となっているのはそのためだといえるでしょう。「税金を財源としている」からこそ、学振DCに選ばれた研究者は研究成果の利益を納税者(一般社会)に還元すべしということでしょう。
したがって、この部分では、あなたがこのような税金で育成されるにふさわしい若手研究者だということを示すことになります。より具体的には、主に四点を説明します。
研究者として、
1,「これまで、自分は何をしてきたのか」
2,「現状、自分は何ができるのか」
3,「自分は何ができないのか」
4,「それを克服する為に、今後、何をすべきなのか」
1,「これまで、自分は何をしてきたのか」
まず、1について、これまでの研究成果をリストアップします。論文や研究発表など、上述のものです。
もっとも、DC1の応募者の場合、特に研究成果がない人も多いでしょう。その場合は、ほかに研究能力の証明に使えそうなものがあれば、記載しましょう。たとえば、獲得した奨学金や、語学や学問に関する資格や検定です。
特に、海外研究をあなたの研究計画に組み込んでいるなら、語学テストの優れたスコアは書いたほうがよいです。実現可能性が高いという証拠になります。ただし、紙幅に余裕がないなら、冒頭の実績リストにわざわざ書かなくてもよいです。
2,「現状、自分は何ができるのか」
上述の主体性などについて、研究者としての資質を自己分析します。なにがその根拠として認められうかは、審査員によって異なる可能性があります。よって、根拠とみなされる可能性がそれなりにありそうなら、書いたほうがよいでしょう。
研究における主体性、発想力、問題解決力、知識の幅・深さ、技量、コミュニケーション力、プレゼンテーション力の項目別に説明しましょう。
研究における主体性
これは研究における行動力といってもいいでしょう。たとえば、これまであまりに大変そうだから他の人が調べようとしなかったことを、あなたが修論などにおいて自分の意志で調べたなら、それは主体性の証拠になるでしょう。
高校や大学、大学院などで、他の人とグループ研究をして、何かの大会に出場して成果を出したなら、主体性の根拠となりえます。とくにリーダーをしていたならそうです。
発想力
修論などの論文の内容が独創的ならば、発想力の証拠として利用できます。どのような発想をしたかを具体的に説明しましょう。できれば、それへの専門家の評価も書きましょう。
地域社会などの問題の解決に貢献したことがあり、その方法が独創的だったなら、それも証拠として利用できるでしょう。
企業などが行う商品開発コンテストなどに応募し、あなたのアイデアが採用され、商品化などされたなら、それも根拠として利用できるでしょう。
問題解決力
トビタテ留学Japanに採用されたことはありますか?あれは課題解決型の留学プログラムです。あるなら、どのような課題の解決に挑み、どのような成果を得たかを書きましょう。
なんらかの課題解決のコンテストに応募して成果を得たなら、それも書くとよいでしょう。たとえば、政策提案のコンテストなどがそうです。
もしボランティア団体やサークルなどで、地域社会などの問題解決に貢献したなら、それも書くとよいでしょう。
知識の幅・深さ
上述の語学などの検定や試験の結果が証拠として利用できます。語学にかんしては、留学経験も証拠として提示したほうがよいでしょう。
複数の分野で学位をもっているなら、それらも提示しましょう。
工学や国際関係論のように、関連する職業経験が知識として使える場合があります。そのような分野で関連する職業経験があるなら、それも根拠として利用しましょう。
技量
特定の実験器具を使いこなすトレーニングを研究室などで受けたり、解析ソフトなどを使いこなす授業をどこかで受けたりしたなら、そのような事実を書いたほうがおいでしょう。
英語のライティング力については、TOEFLなどのライティングのスコアが証拠として一応使えるでしょう。
コミュニケーション力
大学や大学院などで他の友人を誘って読書会を開催するとか、学術サークルのメンバーとしてどこかの研究者を招致して(学園祭などで)学術イベントを開催したとか、いろいろな事実が証拠になり得ます。
外国語でコミュニケーションできるなら、そのことは書いたほうがよいです。上述の語学スコアや留学経験などが証拠になります。
プレゼンテーション力
なにかのプレゼン大会での入賞歴があれば書きましょう。
3,「現状、自分は何ができないのか」と
4,「それを克服する為に、今後、何をすべきなのか」
「今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素や意欲的に取り組みたいと考えている事項についても記入してください」という指示にたいする答えを書きます。
あなた自身が本当になりたい研究者像というよりは、上述のような学振で求められている研究者像に近づくための具体的方法を書く場所といえます。
あなたはすでに研究上の主体性や知識、技量などについて書けそうなことを書いた後です。すべての要素をバランスよく備えている人はあまりいないでしょう。
あまり書けなかった要素の中で、特にあなたの今後の研究にとって重要な要素を選ぶとよいでしょう。その要素に関して、あなた自身をどう改善・補強していったらよいかを述べましょう。
以上です。このページは今後も加筆する可能性があります。
ここまでをしっかり読んだにもかかわらず、いまいち内容が理解できていないという方がいるならば、そもそも論文や研究計画書の基本構造をあまり理解できていない可能性があります。そのような方は、次の本を読んでみるようおすすめします。それらの基本構造を理解していないと、今後の研究者生活に支障をきたします。はやめんい対処しましょう。
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