トビタテ!留学JAPAN (高校生等対象)の内容を紹介します。後半では、これに合格するための応募書類の書き方のコツを詳細に説明します。
※トビタテ(大学生等)のページはこちらへ
「コツ」の部分へは、以下の目次から飛ぶことができます。私自身は文系の博士(Ph.D)であり、これまで、海外留学で利用したものを含め、合計で1800万円以上の返済不要な奨学金を競争で獲得してきました。そのノウハウを全文無料で公開しています。どこよりも詳細に説明します。
ちなみに、以下の海外留学プログラムはトビタテ留学Japanと実質的に同じですので、応募書類もほぼ同じです。よって、このページの「コツ」はこれらの海外留学プログラムでも使えます。あなたがどれかの県の在住者なら、該当するものを読んでおくことを強くお勧めします。
・ふくしまの未来を担うグローバル人材育成事業
・こうち未来創造グローバル人材育成事業~高校生の留学支援~
・いしかわ高校生グローバル人材育成推進事業
・未来を描け!滋賀の海外留学応援プログラム
・ふじのくにグローバル人材育成事業
トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム(高校生等対象)2025年度(第10期)
対象者
日本国籍をもつ高校の学生、あるいは、日本への永住が許可されている高校の学生。2025年4月1日現在の年齢が30歳以下であること。
所得制限
当該機構の国内の第二種奨学金(予約採用)に掲げる家計基準以下であること。ただし、支援予定人数全体のうち、1 割程度を上限に機構の第二種奨学金に掲げる家計基準を超える生徒等を支援する予定
成績制限
なし
対象となる留学
2025年7月10日ー2026年3月末に開始されるもの。14日以上365日以下のもの。留学計画書に沿った探究活動やアンバサダー活動、エヴァンジェリスト活動を含んだもの。これらの活動がなんなのかは後述します。
探究活動とは、自らの興味、関心に基づいて問いまたは課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく活動のことです。 自らテーマや課題を設定し、試行錯誤しながら自ら答えを導き出すという「探究心」を大事にしながら行う学修活動です。
探究活動とその他の学修の割合は生徒等が自由に立案することができ、探究活動のみの留学計画も支援の対象となります。
4つのコースから1つを選択する
マイ好奇心探究コース(募集250名)
「知りたい」、「明らかにしたい」という自らの興味・関心に基づいた問いを設定し、「未知を既知」にすることや「疑問を解明」することを目的に行う探究活動が含まれた留学計画。
社会課題探究コース(150名)
世界・日本・地域が抱える社会課題を自分ごととして考えた問いを設定し、課題解決や活性化、SDGs、社会貢献に寄与することを目的に行う探究活動が含まれた留学計画。
STEAM探究コース(160名)
STEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)領域における問いを設定した探究活動を含む留学計画や、問いに対してAIやIoT、理科の見方・考え方や数学的な見方・考え方を活用しながら行う探究活動が含まれた留学計画。
スポーツ・芸術探究コース(140名)
実技経験や実績の有無にかかわらず、スポーツ・芸術分野における問いを設定し、当該分野の更なる発展に寄与することを目的に行う探究活動が含まれた留学計画。
奨学金の金額と期間
金額は家計基準と留学先国によって異なります。月額6万円・12万円・16万円のいずれかになります。支給期間は留学期間です。
留学準備金として、21万円(アジア地域)か35万円(それ以外の地域)が支給されます
応募の方法と期間
高校を通して応募します。期間は2種類あります。
新高校2・3年生は「第一日程」のみ応募可能。新高校1年生は「第一日程」か「第二日程」のいずれかで応募できます
第一日程
高校から機構への提出締切が2025年1月23日(高校への提出日はもっと前です)
第二日程
高校から機構への提出締切が2025年4月21日(高校への提出日はもっと前です)
出典: 出典: 公式サイト
https://tobitate-mext.jasso.go.jp/newprogram/hs
応募書類作成のコツ:受かるにはどうすればよい?(更新版
ここから、トビタテの応募書類の書き方のコツをできるだけ具体的に説明していきます(更新版)。
私自身は文系の博士(Ph.D)であり、これまで、海外留学で利用したものを含め、合計で1800万円以上の返済不要な奨学金を競争で獲得してきました(この記事が信頼性の高いものであることを裏付けるために、あえて述べています)。学生の頃から、このような奨学金獲得のための書類をたくさん書いてきました。
その経験をもとに、奨学金獲得の合格率をあげるためのノウハウをここで公開します。もちろん、全文を無料で読めるようにしています。奨学金を本当に獲得したいと思う方は、参考にしてください。
※読んでいて「難しい・・・」と感じた場合には、ご両親や学校の先生に手伝ってもらい、一緒に読んでもらいましょう。
ちなみに、この制度についてまだ十分によく理解できていない方は、まず制度の内容をしっかり理解しましょう。その説明は↑でしています。あるいは、文部科学省による公式の動画をみて確認するのもよいでしょう。
トビタテ留学Japan(高校生)とは?文部科学省の公式の説明を動画でみてみる(画像をクリックすると動画が始まります)
次の順番で、応募書類を書いていきましょう。
1,応募書類が審査されるときの基準を理解する
2,その基準に合致するよう、応募書類を書く。(応募理由や探究活動、自己PRなどの各項目の執筆のコツを具体例とともにお教えします)
1,応募書類の審査基準を理解しよう
あなたの応募書類は審査員によって読まれ、合否が決められます。審査員はどのような基準で、合否を決めると思いますか?審査や採点の基準はなんだと思いますか?どうやったら、あなたはより多くの点数を稼いで、合格に近づけると思いますか?
たとえばサッカーの場合、ボールを相手のゴールの中に入れれば、1点を得られます。もしあなたがこの採点基準を知らずにサッカーの試合をしたなら、相手に勝つのは難しいでしょう。
同様に、あなたはまず応募書類の採点基準を知るべきです。では、採点基準はなにか。答えは簡単です。なぜなら、採点(審査)基準は応募要項に書いてあるからです。よって、まずはこの基準をよく理解しましょう。そのうえで、この基準に合致するよう、応募書類をつくっていきます。
審査基準の内容
では、募集要項の19ページに書かれている審査基準を理解しましょう。
そこでは、次のような審査基準が示されています。
「本事業では、派遣留学生が将来、日本の未来を創る「地域にイノベーションを起こすグローバル探究リーダー」として、次のような人材として活躍することを期待しています。
⚫ 自己のあり方生き方を考え、持続可能な未来の創り手として探究を深め、自ら課題を発見し解決できる資質を持った人材
⚫ 好奇心を原動力として、自由な発想で新たな価値を創造するマインドを有する人材
⚫ 失敗を恐れずに、未知の領域に試行錯誤しながら挑戦し続ける人材
⚫ 多様な分野においてリーダーシップを発揮し、世界のグローバルリーダーと渡り合い、日本や国際社会において活躍できる人材
上記に基づき、審査は「人物」と「計画」の2つの観点から行います。「人物」の観点をより重視します。
(ア)人物(求める人材)
⚫ 本要項「4.求める人材像」で示したような人材であるか。
(イ)計画(留学計画の内容)
⚫ 留学の目的や学びたいことが明確であるか、応募理由が明確であるか
⚫ 留学の目的を達成させるために適切な「留学先」「期間」「探究活動内容」であるか
⚫ 今回の留学で得た成果を自分の将来にどのように活かすか、社会にどのような形で還元しようと考えているか 」
本要項「4.求める人材像」とは?
(便宜的に、それぞれの基準に番号をふっています)。
「求める人材像
日本の未来を創る将来のグローバル探究リーダーとして、留学を通じて以下に掲げるような素養を身に付ける意欲を有する人材を求めます!
1,世界の人々との交流を通じて得た学びから、多様な価値観を柔軟に取り入れようとする意欲
2,独自の視点や考えを有し、社会のために貢献しようとする志
3,好奇心を原動力にして、自由な発想で新たな価値を創造する力
4,探究心を持ち続け、視野を広げ情報収集しようとする姿勢
5,失敗を恐れず、未知の領域に試行錯誤しながら挑戦し続ける強い気持ち
6,自らリーダーシップを発揮し、周囲を巻き込む力
7,多様な人々と真摯に向き合い、対話して協働する姿勢」
以上が審査・採点の基準です。
しっかり理解し、覚えましょう。あなたが受かるには、これらの審査基準に合致した内容をつくる必要があります。
※審査基準を理解することの重要性
→トビタテ留学Japanは応募者が多いため、審査員もたくさんいます。そのため、審査員たちの審査基準を統一する必要があります。もし審査基準がバラバラだったら、次のような大きな問題が起こるためです。
審査員Aは簡単に高得点をあげるのに、審査員Bは辛口で低い点数ばかり。あなたがどちらの審査員にみてもらうかで、合否が変わってしまう。これは大きな問題です。そのため、審査基準が事前に定められ、公開されています。
このように、審査基準はそれぞれの審査員が好き勝手に点数をつけられないようにするものでもあります。審査員は審査基準によって縛られているのです。そのため、審査基準に従って書けば、その分、合格に近づくことができます。
2,審査基準に合致した応募書類を書く
ここから、応募書類の内容を考えていきます。
応募書類の各部分の要点
ここから、応募書類の各部分の書き方について、具体的にアドバイスしていきます。ホームページでは、留学計画書事前準備シートを確認できます。これをもとに、応募書類の各部分をみていきましょう。
2 留学計画の2-1 応募理由
●項目内容
「トビタテ!留学 JAPAN 新・日本代表プログラムに応募した理由を記入してください。〔500 字以内〕
数ある留学支援のプログラムの中でも、「自分の留学はトビタテでなければ実現できない」という理由を書きましょう。」
●解説とコツ
→「自分の留学はトビタテでなければ実現できない」理由を書くことが求められています。その例をあげましょう。
まず挙げられるのは、「わたしの留学目的はトビタテの金額と長さでなければ実現できないのだ」という理由です。
日本には、海外留学の奨学金はいろいろあります。しかし、奨学金の金額や支給期間がトビタテより小さいものが多いです。そのため、この理由を利用するなら、次のようにしましょう。
1,トビタテの金額と期間でしか実現できない留学計画を立てる
2,「わたしの留学目的はトビタテの奨学金の金額と期間でなければ実現できない」と書く。
別の理由としては、トビタテの審査基準を利用するものがあります。このタイプの理由利用することがおすすめです。というのも、あなたがこの審査基準に合致する(合致しようとしている)ということも、示せるからです。
たとえば、「トビタテの求める人材像の●●という点を読んで、これはまさに私のことだと思い、応募を決めた」。
「トビタテの求める人材像の●●という点に大いに共感した。これがまさに私の理想像である。まだまだこの理想像には届かないけれど、トビタテの留学によってこのような人物になりたいと思い、応募を決めた」。
この理由を使う場合には、なぜあなたがそのような人物だといえるのかの根拠を端的に示せると、よいです。なぜなら、審査員はあなたのことを知らないからです。
本当に「これはまさに私のことだと」いえるのかがわかりません。あなたがそう思ったのは勘違いではなく、正しいといえる根拠を審査員に端的に示せるとベターです。
たとえば、上述の例なら、なぜ「これはまさに私のことだと思えたのか。あるいは、なぜそのような理想像を目指そうと思うのか。
具体的な体験などを理由としてあげましょう。たとえば、国際的に活躍する大人が身近にいて、その人の〇〇という行動・考え方に憧れを抱くようになったから、とか。
ボランティアで●●の活動に参加するうちに、(審査基準のどれかに合致するような)人たちに感化され、私もそのような人物になりたいと考えるようになった、など。
※「応募理由」の項目を書く順番は、後ろの方になります。
トビタテへの応募理由を最初に示すよう定められています。しかし、あなたが応募書類を書く順番としては、応募理由は後の方で書くものです。
なぜか。そのように書くには、そもそも、あなたの留学計画がだいたい具体的に明確になっている必要があります。よって、トビタテへの応募理由の作成は後回しになるでしょう。
応募書類の作成が大変で、くじけそうになった時にはどうする?
→トビタテに合格して留学へ向かう高校生たちの動画をみて、やる気を引き出しましょう。
公式動画(画像をクリックすると動画が始まります)
2-2 留学計画の概要
(1)留学計画のタイトル〔40 字以内〕
・項目内容:「留学計画全体のテーマを簡潔に分かりやすく書きましょう。探究活動の「問い」とは異なります」。
(2)留学計画のキーワード〔各 10 字以上 20 字以内〕
・解説とコツ
→タイトルとキーワードはセットで考えましょう。
注意点として、そもそも、ここでのキーワードは実際にはキーワードではありません。トビタテが用意したキーワードの具体例は「ジェンダーフリートイレの普及」ですので、あきらかにワードではありません。
よって、こう考えましょう。タイトルは40字以内で、あなたの留学計画のテーマを詳しめに、簡潔に示します。10−20字のキーワードによって、このタイトルの重要な要素を3つ示します(一つか2つでも可)。
タイトルの例「日本人はなぜどのような点で風呂好きなのか:フィンランドとの比較で調べる」
キーワードの例:フィンランドのサウナ文化の調査と体験、日本の風呂の文化と歴史の探求、フィンランド在住の日本人の風呂事情の調査
タイトルとキーワードをつけるコツ。あなたの探求活動を全面に押し出したほうがやりやすいでしょう。審査員からしても、そのほうが理解しやすいです。すなわち、伝わりやすいです。
※探究活動とはなにか。これは「自らの興味、関心に基づいて問いまたは課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく活動のことです。 自らテーマや課題を設定し、試行錯誤しながら自ら答えを導き出すという「探究心」を大事にしながら行う学修活動です」。
トビタテの制度をよく理解していない方は、まずはトビタテの制度の説明(このウェブページの前半部分)を熟読しましょう。
探究活動のテーマ探しについては、後述の留学中に行う探究活動の「問い」の項目で説明します。
※なお、タイトルとキーワードを完成させるのは、応募書類執筆の最終段階です。暫定的な案をつくったら、次の部分にうつりましょう。
(3)留学計画の概要を簡潔に説明してください。〔250 字以内〕
・項目内容
「どんな留学なのかを、自分のことを知らない人に1分間でわかりやすく伝えることをイメージしましょう」
・コツと解説
→250字しかありませんので、書く内容はかぎられています。あなたが留学において、いつ、どこで、何の目的を、どのような手段で、なぜ達成するのか。その目的を達成すると、なんの役に立つのか(意義や影響)。
審査員が概要を読んで、「あなたを合格させたい」と思わせることが重要です。そのため、審査基準に合致していると分かるよう書きましょう。
その際に、上述の「留学計画のテーマ」や「キーワード」で用いた言葉(ほんとうの意味でのキーワード)をここでも利用しましょう。あなたの留学計画や探究活動に一貫性があると示すことができます。上述のような風呂の探求活動なら、「風呂」がそうなります。
ちなみに、概要は簡潔にわかりやすくまとめましょう。概要がグダグダだと、あなたの知的能力が低いと思われやすいです。そのため、頭をよく整理して書きましょう。
この概要部分は、「留学計画」の他の部分をすべて書いた後に、完成させます。これはあなたの計画のまとめだからです。
(4)留学の実現のための具体的な取り組みを記入してください。(受入先機関との交渉状況や具体的に思考していること:250字以内)
・コツと解説
→留学計画を実現するには、いろいろなハードルがあります。どんなハードルがあるかは、留学計画によって様々です。ハードルを乗り越えられなそうな留学計画は実現できなそうなので、不合格になります。
そこで、審査員はこう考えます。あなたはあなた自身の留学計画を本当に理解しているのか。あなたの留学計画は本当に実現可能なのか。
あなたの留学実現のハードルがなんなのかをあなたが理解していない。どれがハードルかはわかっているとして、どうやって乗り越えればいいかわからないようだ。審査員がこう判断したら、あなたは落とされます。
そのため、「あなたが自身の留学計画をちゃんと理解し、実現方法や失敗のリスクを具体的にわかっており、実現やリスク回避のために準備しているのだ」、ということを示しましょう。そのために、実際にいろいろと調べることが必要です。
この項目の「受入先機関」とは、留学先の大学などです。留学先であなたが探究活動などのためにお世話になる団体です。たとえば、もしあなたが留学計画に現地での職業体験を含んでいるなら、職業体験施設もこれに該当します。
簡単に予想がつくことですが、この項目のために調べることは多いです。どの情報源を利用すればよいか。それは留学計画によってかなり異なってきます。それでも、次の点を指摘できます。
最新の正しい情報を集める必要があります。間違った情報を用いると、失敗します。古くなって通用しなくなった情報は間違った情報の一つです。必ず最新の正しい情報を集めましょう。
応募書類が大変で疲れたら、ちょっと一息いれましょう
トビタテの留学の経験はどう活きてくる?留学後の事後研修会の様子(画像をクリックすると動画が始まります)
探究活動
(1)留学中に行う探究活動の「問い」〔65 文字以内〕
※「問い」は疑問形で設定してください。
例)「日本で AI 音楽が社会に広く受け入れられるにはどういった取り組みが必要か?」
「○○と▲▲はどのように異なるのか?」「◇◇に必要な取り組みは何か?」
「なぜ□□は●●なのか?」
・コツと解説
→探究活動は研究活動の初心者版のようなものです。研究では、自分自身で問いを立てて、その答えを出します。トビタテの留学自体は、この答えを出すための手段でもあります。
どうやって問いやテーマを立てればよいのか。その方法は、次に述べます。
(2)「問い」の設定理由や経緯〔350 文字以内〕
・コツと解説
→なぜそのような問いを立てることになったのか、なぜその問いを思いついたのか、を書く部分です。
この部分のポイントとして、まさにあなた自身がこの問いを立てたということが伝わるようにしましょう。
上述の審査基準から明らかなように、トビタテでは、自分の頭で考えて問題を発見し、解決しようとする学生を採用します。そのため、「自分の頭で考えましたよ!」とアピールすることが重要です。
そのことが伝わるようにしましょう。そのためには、あなた自身の具体的な経験と関連付けて、問いを思いついた経緯を説明しましょう。
問いやテーマの見つけ方
そもそも、どうやって問いやテーマを見つけるのか。あなた自身の日常的な経験(見聞きしたこと、体験したこと)などで、疑問に思うことがあるでしょう。
あなたの経験から、小さな疑問がうまれる。それを掘り下げ、膨らませることで、より大きな問いになっていきます。この大きな問いが、探究活動の問いになります。
トビタテでは、上述のように、問いは疑問形で示します。それを普通の簡潔な文章にすれば、留学計画のテーマになります。
問いがうまれるきっかけの例。日常的な体験やニュースでの「おかしいこと」や「変なこと」。普段しないこと(旅行や新しい体験など)で「驚いたこと」や「興味を惹かれたこと」。
興味のある留学先との関係で問いを見つけるパターン。自分(たち)とは異なる(留学先の)外国人たちとの間で、異なることや同じことに着目する。
たとえば、日本人と●●人の違い、あるいは類似点を調べる。気候も習慣もほとんど違う国なのに、●●という点は日本人とほぼ同じ、似ている。なぜか?など。
その際に、この疑問をあなた自身の(日常的な)体験や普段の考えと関連付けられると、ベターです。問いに「あなたらしさ」が付け加えられます。
小さな疑問から大きな問いをつくるには
「どうやったら、小さな疑問を大きな問いに発展させられるの?」と思う人もいるでしょう。すなわち、どうやって、ここでの問いを立てたらよいのか。方法はいくつかあります。
1つ目は、いくつかの小さな疑問を相互に結びつけて、より大きな一つの問いにする方法です。たとえば、「なぜ日本製のペンは外国人に人気なのか」と「なぜ日本製の消しゴムは外国人に人気なのか」という疑問を結びつけます。
その結果、「なぜ日本製の文房具は外国人に人気なのか」というより大きな問いがうまれます。ペンと消しゴムという具体的なものを「文房具」というより抽象的なものに統合するのです。そうすれば、大きな問いになっていきます。
2つ目は、比較することです。たとえば、「暑い時期に、人はどうやって暑さを和らげようとするのか」と疑問に思ったとしましょう。暑さを和らげる方法について、日本のケースについては、ある程度知っているでしょう。
では、外国ではどうなのか。たとえば、砂漠の国ではどうか。日本とエジプトで比較することにすれば、問いの対象・範囲が増えます。よって、より大きな問いになります。
たとえば、「日本において、暑い時期に人はどうやって暑さを和らげようとするのか」という問いより、「アジアとアフリカにおいて、暑い時期に人はどうやって暑さを和らげようとするのか」という問いのほうが、大きな問いです。
※余裕がある人は、次のポイントも考慮しましょう。
第一に、問いの設定の経緯についても、審査基準に合致するようにしましょう。
たとえば、あなたが普段から国際ニュースを見ていて、そこから疑問をもった。その疑問について調べるうちに、「●●はなぜ生じたのか」という大きな問いに至った、と。
ここにおいて、あなたが普段から国際的な視野や関心を持とうとする人物だと示せます。
ちなみに、「国際」や「学際」が審査員には高く評価されます。既存の枠組みやジャンルを超えるような試みが歓迎されることが、審査基準から明らかです。理系と文系の両方にまたがる問いなどです。
第二に、問いの設定の経緯を説明する中で、その問いの社会的な重要性を示しましょう。「この問いや問題の解決が社会にとってかなり役立つ」とアピールできれば、評価は高まります。
どうやって示せばよいのか。たとえば、あなたが問いを立てた理由の中で、「この問いが●●という社会問題の解決に寄与するのではと思ったのも、この問いの設定理由の一つである」と直接的に書けばよいです。
ちなみに、その問いの解決が社会問題の解決に「寄与」すれば十分です。その問いを解決するだけで、その社会問題が「全面的に解決する」とアピールする必要はありません。部分的にであれ、社会問題の解決に役立ちそうだ、とアピールすれば十分です。
(トビタテが用意した例)
「私は楽器を弾いたり、時代を問わず様々なジャンルの音楽を聴いたりすることが好きで、音楽に触れて感情が動いた経験が多々ある。
他方で、プログラミングの授業をきっかけに音楽生成 AI に関心を持ち自身でも創作活動をしているが、周囲の友人や家族には AI 音楽の完成度は認めるものの、否定的な意見の者もいた。
日本では特定の音声合成技術が一つのコンテンツとして世界中に広まっている一方で、AI 音楽が広く受け入れられているとは言い難いと感じた。
IT 技術を駆使した日本の音楽が広く世界にも受け入れられることを最終的な目標としながら、まずは海外での事例や音楽業界での取り組み、IT 先進国の大衆の意識にどういった違いがあるのかと疑問に思い、問いを設定した」。
(4)留学中の活動内容
①スケジュール(概要)
・項目内容
「現時点で想定している留学中の活動スケジュールを簡潔に記載してください」。
・コツと解説
→上述のように、最新の正しい情報を用いましょう。以下の例のように、できるだけ具体的に書きましょう。
ポイントは、審査員に、「この留学計画は実現可能性が十分にある」と思わせることです。そのためには、無理がない計画であること、具体性があることが大事です。
無理がない計画とはなにか。留学の時間と予算が決められています。その予算と時間の範囲内で実行できる内容にしましょう。
トビタテの例)
留学期間(活動期間):7月21 日~8月 15 日
7 月21 日~8月1日:スウェーデンの●●音楽大学のサマーキャンプに参加する。この期間中の午後の空き時間にイノベーションセンターを訪問する。
8月2日~8月3日:●●社でインターンを行う。
8月4日~8月15 日:エストニアで語学学校に通いながら午後の空き時間に IT 企業を訪問する。
②活動内容詳細(情報収集・整理・分析の方法、など)〔850 文字以内〕
・項目内容
「問い」に対して、留学中にどのような活動を行う予定か、具体的に記入してください」。
・コツと解説
→あなたが立てた問いにたいして、どのような方法で、答えを出すのかという部分です。留学中に、問いに答えるべく、具体的になにをするのかを示す部分です。
この部分を書くには、具体的にいろいろと調べる必要があります。図書館で本を読んだり、詳しい人に聞いたりして、情報を集めましょう。ネットを使う際には、できるだけ専門家のサイトを利用しましょう。
留学先で答えを出すべく、「具体的になにをするのか」を書くときには、なぜそれをするのかが分かるようにしましょう。この点で、後述の具体例が参考になります。審査員が「これは答えを導くのに関係ないのでは?」と思うなら、評価は下がります。
留学先で答えを出すべく、「具体的になにをするのか」について、いくつかの主だったものを上げましょう。
・関連する授業に出て学ぶ(実験なども
・関連する人たちの話を聞く。インタビューや、アンケート
・関連する出来事を体験・経験する。職業体験や観戦、美術館での鑑賞など
・もし留学先の図書館などでしか読めない文献があれば、それを読む。あるいは、留学先でしかアクセスできない情報があれば、それにアクセスして、情報を得る(なんでもかんでもネットで知ることができるわけではないため)
・スポーツや芸術の活動が含まれるなら、その実践(試合をするとか、演奏するとか
※内容を詰め込みそうになったときのヒント
やりたいことがあまりに多い場合、審査員は「この計画は詰め込みすぎで、無理がある。よって実現性が低い」と判断するかもしれません。それでも、アピールすべき「やりたいこと」が多い。そういう場合には、こうしましょう。
やりたいことの間で、優先度を割り振る。優先度の高いことと低いことを区別する。高いことをまずしっかりと書く。低いことについては、「もし時間や予算に余裕があったなら、●●も行う」と記す。
トビタテの例)
現地の音楽大学のサマーキャンプに参加し、音楽手法を学びながら生成音楽 AI を活用した作曲に必要なスキルを調査する。また、将来音楽制作にかかわることを目指す参加者に対して AI 音楽に関するアンケートを行う。
アンケート項目として現在想定していることは次のとおり。
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
イノベーションセンターは、人、アイデア、知識、創造性を交差させる出会いの場であり、その多くは近隣の大学と地域の行政、あるいはグローバル企業と IT 企業の架け橋として機能している。
そこにいる人たちの話を聞き、AI の未来と音楽の可能性や、AI の使用者側として大切なことなどについてインタビューをする。
音楽ストリーミングの先駆的存在であり、デジタル音楽分野において最先端の研究が行われている●●社でインターンを行い、どのように発展してきたか、また今後の音楽業界の展望についてインタビュー調査を行う。
ICT先進国であるエストニアの IT 企業を訪問し、IT 技術がエストニアでどのように発展し、広く社会に普及したのか、今後のIT技術と人間の共存について関係者の話を聞く。
さらに、音楽を聴く大衆側の意識を調べるため、ホームステイ先をはじめとして地域の住民や、語学学校の生徒に対して自身が作曲した AI 音楽を視聴してもらいアンケートを行う。アンケート項目として現在想定していることは次のとおり。
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
(5)留学前の活動(国内での情報収集や先行研究の調査、検証、仮説の設定など)〔450 字以内〕
・項目内容
「探究活動の実施に向けて、留学前に取り組むことについて記入してください」。
・コツと解説
→留学計画は、事前によりよく準備されているほど、成功する可能性が高いです。よって、よく準備していると審査員に印象付けましょう。
この部分で具体的に行うのは、次のことです。あなたの立てた問いはあなた自身が立てたものです。とはいえ、同様の問いを立て、答えを出そうとした人がすでに他にもいるかもしれません。それを調べます。これが「先行研究の調査」です。
先行研究というのは、あなたと同じ問いについて、あなたよりも先に行われた研究です。なお、厳密にみて、全く同一の問いや研究でなくてもよいです。
留学準備として、先行研究では、どのような答えがどのような方法で出されたかを調べます。その方法や答えが妥当なのかを評価・検証します。
よって、この部分では、どのようなジャンルや内容の先行研究を事前に調べるつもりなのかを書きましょう(この部分は、留学「準備」の計画です。つまり、留学に行く前の段階での計画です。留学先での計画ではなく)。
調べる方法がすでに決まっているなら(アンケートなど)、それも記しましょう。
「仮説」というのは、あなたが立てた問いにたいするあなた自身の現時点での暫定的な答えです。
たとえば、「暑い地域の住人は日中ではなく夕方以降に仕事をする」や、「近年の外国人が日本を好きになるきっかけのほとんどはマンガやアニメである」などです。
仮説は留学計画書の執筆時に思っているものでかまいません。ある程度の下調べをして、書きましょう。仮説が正しいかどうかを、留学中に確かめることになります。
トビタテの例)
「現在の日本の AI 音楽の技術レベルや活用状況について調べる。また、海外における AI を導入した音楽制作の成功事例とその影響について調べる。
自分の身の周りにいる人や音楽制作を行っている人に対して AI 音楽に関するアンケートを行う。現在想定している項目のうち、主なものは以下のとおり。
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
・「XXXXXXXXX・・・・・・」
日本での AI 音楽の普及にあたり存在する課題が何か、音楽制作者側・ビジネスモデル・大衆の意識・IT 技術・法整備といった様々な側面から仮説を立て、対応策を検討しておく。
現時点で想定される仮説は、XXXXXXXXX・・・・・・。」
(6)留学後の活動(プレゼンテーションや小論文、問いの解決策として想定される活動など)〔450 字以内〕
・項目内容
「探究活動の成果のまとめとして、留学後に取り組む予定の活動について記入してください」。
・コツと解説
→ この部分では、主に二点を書きます。
1,あなたが留学後に、その成果をどのようにしてまとめるかを書きます。
これについては、簡潔に書けば十分です。アンケートをまとめるなど。トビタテの例を参考にしましょう。
2,その成果を用いて、どのようにして社会に影響を与えていくつもりかを書きます。これがこの部分のメインです。
トビタテの審査基準では、留学生に、社会にイノベーション(革新)を起こすリーダーになってもらいたいと示されています。よって、留学成果をどう公表するかが重要になってくるのです。
方法は色々あるでしょう。論文やプレゼン、ウェブサイト、楽曲や絵画などの作品づくり、ユーチューブなどの動画づくりなど。あなたの仮説や留学計画の内容や目的にあったものを選びましょう。
トビタテの例)
AI音楽に対するアンケート結果について日本と留学先国の比較・分析を行い、仮説に対する検証結果をプレゼンテーションにまとめる。学校で留学の成果報告として発表する。
その際、留学での経験を生かして自身がAIを用いて作曲した楽曲も披露し、発表後は参加者に対してAI音楽に対するアンケートを取り、自身の探究活動結果がAI音楽に対する印象にどのような影響をもたらしたのか調査したい。
また、日本のAI音楽の発展に何が必要か、留学中の探究活動や体験したことを踏まえて洗い出し、それに向けて自分に何ができるか考え、音楽活動を通して発信していく。
提出期限までに余裕があれば、ここで一息入れましょう
トビタテの留学はどんな感じ?留学後の事後研修会の様子(画像をクリックすると動画が始まります)
4 アンバサダー活動
・項目内容
→「留学中に行うアンバサダー活動について記入してください。〔400 字以内〕
留学中に日本や日本の地域の良さを発信する「アンバサダー活動」に取り組んでもらいます。
日本のファンを海外で増やすために、留学中に何ができるのか、また、なぜその活動を行いたいのか、あなたのアイデアやプランを具体的に(いつ・どこで・誰に対して・何を・どのように)記入してください」。
・コツや解説
→ この部分については、400字だけで、日本の宣伝として、いつ・どこで・誰に対して・何を・どのように・なぜ行うのかを書きます。
あなたの留学計画や探求計画と関連付けることができれば、望ましいです。関連付けが難しいなら、無理はしないほうがいいでしょう。審査基準もできるだけ反映させたほうが良いです。
ポイントとしては、留学先国での日本のイメージを調べて、それに合った方法を選ぶとよいでしょう。
たとえば、親日国であれば、日本がすでにどのようなジャンルで人気なのか。まだ人気が弱いジャンルを特定して、そこでの人気を増やす方法を具体的に考える。
日本があまり認知されていない留学先国なら、どうか。印象に残りやすいジャンルや、すでに別の外国で人気となっている日本のジャンルを選んで、留学先国でアピールする、など。
あるいは、あなたの特技に合わせたアピール方法などもあるでしょう。
この項目では、いわば正解といえるようなものはありません。あなたの独自性がでやすい部分です。
(トビタテの例)
・ホームステイ先で、地元の郷土料理である○○を作って振る舞う。
・日本に関する質問を集めてプレゼンテーションを行い、日本文化を理解してもらう
・ホームステイ先や学校のクラスメイトの好きな言葉を日本語に訳し、筆ペンで書いたものをプレゼント
5 エヴァンジェリスト活動
・項目内容
「留学中・帰国後に行うエヴァンジェリスト活動について記入してください(400字以内
留学中・帰国後に留学の魅力や留学で得た体験を周りに伝える「エヴァンジェリスト活動」に取り組んでもらいます。
自分の学校から留学にチャレンジする人が、毎年必ずいる状況を作るために何ができるのか、また、なぜその活動を行いたいのか、あなたのアイデアやプランを具体的に(いつ・どこで・誰に対して・何を・どのように)記入してください」。
・コツと解説
→ エヴァンジェリスト活動とは、もともと、キリスト教の布教活動という意味です。キリストの教えの素晴らしさを異教徒に伝えたい。そのような宣教師などの活動です。この概念がビジネスで転用され、より世俗的な意味合いで使われるようになりました。
トビタテの場合、留学の良さや魅力を伝えるための「布教活動」がエヴァンジェリスト活動です。この項目では、その方法を書くことになります。
ここでも、400字以内で、いつ・どこで・誰に対して・何を・どのように・なぜ行うのかを書きます。
トビタテは今後も留学の希望者をどんどん増やしていきたいと望んでいます。あなたがあなた自身の留学経験(もちろん、これからする予定のものですが)を使って、どのようにしてトビタテの希望の実現に貢献できるのか。それを具体的に示します。
トビタテの以下の例はあたりさわりのないものばかりです。印象に残るようにするなら、あなたの留学計画の内容と関連付けたほうがよいでしょう。あなた独自の方法が好ましいです。
ちなみに、ここであなたが主にアピールすることになるのは、中学や高校ならびに大学の同世代の人たちだということを意識しましょう。
同時に、留学の希望者を増やすには、親の世代の関心をひくことも大事です。よって、あなたと同世代には●●のアプローチ、親世代には▲▲のアプローチというふうに分けるとよいでしょう。
ここで、注意点です、大半の審査員はあなたと同世代ではありません。若い世代の人しか知らないような方法を選ぶ場合には、おじさんやおばさんの審査員が理解できるように説明しましょう。
(トビタテの例)
・留学して体験したこと、トビタテ留学 JAPAN の活動などについて、レポートやパワーポイントにまとめて学校で発表する。
・学校外で留学体験を広めるために、地元の中学校や児童館で発表する。
・留学準備から留学中そして、その後の活動を、SNSを使って発信していく。
一人の高校生の留学生活に焦点をあてて見てみる:公式紹介動画(画像をクリックすると動画が始まります)
6 自由記述
6-1 過去の経験
・項目内容
「今まで学校の内外で、困難を克服した経験やチャレンジしたことを取り上げ、その内容とそれによって学んだことを具体的に記しましょう(450字以内」
・コツと解説
→あなたがどういう困難をどのような仕方でのりこえたか。そこから、どんな教訓をえたか(留学計画に関連付けられそうなものがベター)、を書きます。
トビタテの審査基準にあるように、留学生は困難にめげずに果敢にチャレンジし続けることが求められます。あなたがまさにそうだ、ということをアピールしましょう。
とはいえ、そのような人物像はある種の理想です。現時点で完全にそうだといえる人は、一部でしょう。よって、現時点であなたが「完全に」そのような人物だとアピールする必要はありません。
重要なのは、これを示すことです。
・あなたがそのような人物になろうという姿勢をもっていること
・あなたがそのような人物になろうとして、実際に挑戦し、成功したことがあること
・なぜ乗り越えることができたのかについて、肯定的な理由があれば、書けるとベター。たとえば、仲間を信じ続けて諦めなかったから。色々調べた結果として、半年では成功しないが、1年以上続ければ成功の見込みが高いとわかったから、続けられた、とか。
(ただ運がよかった、などであれば書かないほうがいい)
6-2 留学後の自分
・項目内容
「高校卒業後の進路や 10 年後の自分の将来をイメージして、どのような夢を描いていますか。また、国境を越えた探究活動を通じて得た学びを、社会にどのように還元しようと考えていますか(400字以内」
・コツと解説
→ここでは、二種類の異なる点を400字以内で書くことになります。今後10年間の夢と、留学の探究活動による社会貢献です。どちらについても、トビタテの審査基準とあなたの留学計画の内容を反映させましょう。
1,今後10年間の夢について
あなたの今回の留学があなたの進路や夢のための必要な手段となっている、その一つのステップとなっていると示すのが望ましいです。
ポイントは、「高校卒業後」や「 10 年後」だということです。ここでは、夢といっても、たかだか10年後までの話です。つまり、卒業後から10年後あたりまでの比較的近い将来の人生設計を尋ねられています。
そのため、今後の10年の人生プランとして、比較的具体的に書くようにしましょう。
留学後に、ここで書いた10年プランにあなた自身が縛られる必要はありません。あくまで、留学前の見込みです(留学後に変わっても、不思議ではありません)。
2,留学の探究活動による社会貢献
これは前の項目でも聞かれていることではあります。再び聞かれるということは、それだけ重要度が高いということです。
ここでのポイントは、「国境を越えた」探究活動だということです。わざわざ「海外留学」したからこそ、得られた学びだということです。日本国内だけで探求してもなかなか得られない学びです。
あなたが●●という国に行って調べることではじめてわかったことです(もちろん、応募時点での見込みですが)。そのような学びを日本社会にどう役立てるかが問われています。
ポイントとしては、まず、留学でどのような学びを得られそうかを考えます。いくつか候補があるでしょう。次に、ニュースなどによって、現在日本の問題や課題を見つけましょう。いくつかあるでしょう。
その問題の一つを解決するのに役立ちそうなあなたの学びを選びます。
たとえば、「今回の留学によって、留学先での●●という運動が手軽で健康によいことが分かる見込みである。日本では、この運動はまだ知られていない。これを日本で周知して、日本人の健康長寿を高める有望な方法にしたい」。
※余裕があれば、「今後10年間の夢」と「留学の探究活動による社会貢献」を関連付けましょう。
たとえば、「留学の探究活動による社会貢献」が「今後10年間の夢」の一つのステップだと示せると、ベターです。
たとえば、こうです。「私は大学卒業後、アフリカの発展途上国と日本の架け橋になる仕事につきたい。その際に、健康という共通の重大な関心事に着目している。それぞれがお互いの健康な習慣や食品などから学びあえるはずだと思っている。そのための活動をしたい。
今回の留学はその一環である。特に、●●の国の▲▲という運動法に注目し、その効果をたしかめ、習得する。これは日本社会でほとんど知られていない。よって、これを私が日本で周知させることで、日本の健康寿命を高めるのに役立てたい。同時に、このような仕方で、両国の交流を活発にさせていきたい」。
トビタテ留学生(高校生)のその後の人生とは?ある女子学生の物語(画像をクリックすると動画が始まります)
6-3 自己 PR
・項目内容
「A4サイズ1枚で、あなたのアピールポイントを表現してください。文章、イラスト、写真など、表現方法は自由です。
※必ず A4 サイズ1枚に収まるように作成し、PDF ファイルを添付してください」。
・コツや解説
→まず、この自己PRを書く際の前提となるポイントを4つ示します。その後に、具体的になにを書くべきかを示します。
前提となるポイント
1,トビタテの自己PRの目的をしっかり理解しよう
→この自己PR文の目的はなんだとおもいますか?審査員に自分をよく知ってもらうため(自己紹介)?自分のよい印象を与えるため?
いいえ、違います。あなたがトビタテの留学生としてふさわしいことを審査員に説得することです。自己PRはその説得の手段です。この自己PRはあなたをありのままに紹介する文章ではありません。トビタテに採用してもらうために説得する文章です。トビタテのほかの全ての応募書類の目的も同じです。
よって、説得に役立たない部分は、書かないようにします。その分、説得に役立つ部分は、掘り下げて詳しく書きます。
説得の方法はこれまで説明してきました。自己PRでも同様に行っていきましょう。より具体的な方法は後述します。
2,自己PRの内容とこれまで書いてきた内容が矛盾しないよう気をつけよう。
→ここまでの間に、あなたは実質的に自己アピールをいろんな部分でしてきたことになります。それらの内容とこの部分の内容が矛盾しないよう気をつけましょう。
自己PRの部分では、それまでの自己PRを体系化して、まとめて提示することにもなります。
3,紙幅の制限に気をつけよう
自己PRはA4サイズが一枚だけです。全て文章で埋める必要はありません。文章だけなら,2000字程度です。あなたの留学計画に合う方法を選びましょう。文章がメインの場合でも、図表を効果的に用いるとよいでしょう。
見出しをつけたり、強調したい部分を太字にするなどして、読みやすく工夫しましょう。ただし、太字などは強調したい部分だけにしましょう。太字だらけになると、効果がありません。
それぞれの審査員が大量の応募書類を限られた時間の中で大量に読んでいる可能性があります。そのため、読みにくい応募書類は落とされやすくなります。読みやすさを工夫することが大事です。
4、自己PRで書くのは、「あなたの成長の物語」である
あなたが自分自身のどのような目標や夢に向かって、これまでどのように努力し成長してきたのか。さらに、トビタテの奨学金を獲得して、どのように成長していきたいのか。このようなことを書きます。
自己PRで具体的に、なにを書くべきか
それでは、何を書くべきかを示していきましょう。適切な書き方のパターンはいくつかあると思います。その中で、多くの学生にとって使いやすいものを一つ紹介します。
1,三つの目標(夢)を提示する
1つ目と2つ目の目標は、あなたがこれまでにすでに示してきたものです。トビタテ留学で実現したい目標と、10年後の目標です。すでに示したものですので、必要最小限に、簡潔にまとめを示します。
3つ目の目標は、あなたが生涯をかけて実現したい目標や夢です。あなたは定年まで40−50年あります。よって、4−50年を使って実現したい夢や目標です。関連して、どういう人間になりたいか(理想像)を書くのもよいでしょう。
トビタテでは、あなたの将来の可能性をはかろうとしています。大きな可能性のありそうな学生に、奨学金を与えようとします。そのため、将来の大きな目標や夢を示しましょう。
これは大きな目標ですので、それなりに漠然としていてもよいです。ポイントとしては、これまで通り、トビタテの審査基準に合致する目標であることです。特に、国際的な目標にしたほうがよいでしょう。
余裕があれば、あなたが「日本人」であることと関連付けたり、「日本」と関連づけたほうがよいでしょう。トビタテ留学は実質的に日本の税金で行われるためです。
たとえば、「日本人として、アフリカの平和に貢献したい」とか、「(日本も面している)太平洋の海洋資源を20世紀前半の水準にまで回復させたい」
とかです。
2,三つの目標を一つにつなぎあわせる
これら三つの目標を順番に達成されていくものとして提示しましょう。3つの階段(目標)を徐々にのぼっていくのです。1段目はトビタテ留学で、2段目は10年後の目標、3段目は生涯の大きな目標です
本当は、もっと多くの階段があったほうが現実的です。しかし、A4サイズが1枚だけですので、三つの目標で十分です。
たとえば、次のような例があります。
1,トビタテの目標:アフリカのスーダンでの紛争の最も重大な原因を現地で特定する
2,10年後の目標:スーダンなどのアフリカでの紛争解決に携わり、その和平実現に貢献したい
3,生涯の目標:日本人の一人として、アフリカの発展に貢献したい
3,三つの目標を立てた後、「なぜ」等の説明を加える。
「なぜ」その目標を選んだのかを書きます。トビタテの目標の「なぜ」はこれまでにすでに説明しているはずですので、ここで詳しく説明する必要はありません。
トビタテの応募書類作成のコツとして、しばしば、「あなたの夢や熱意を伝えよう」と勧められています。その具体的な方法の一つは、熱意をストレートにぶつけることです(ただし、伝わるように整理して書く)。
他の方法として、目標を選んだ理由(なぜ)を詳しく書く(文量を増やす)ことがあります。あなたには熱意があるのだとアピールするためには、詳しく書くことが重要です。
4,それらの目標を「どのようにして」実現したいかの説明を追加する。
第一に、トビタテ留学の目標の実現方法はこの応募書類ですでに書いてきましたので、あまり書かなくてよいです。余裕があれば、簡潔なまとめを添えればよいでしょう。
第二に、10年後の目標です。その実現方法を調べて書きましょう。たとえば、(留学後に)大学でどんなことを学ぶつもりか。どういう資格やスキルをえればよいか。どんな外国語を学ぶ必要があるか。
大学院でなにかを学んだほうがよいか。国際機関などの職種によっては、一度働いて実務経験を積んでから、大学院でスキルアップするなど。
ここでのポイントとして、あなたは夢のためにすでに努力していると示したほうがよいです。10年後の目標の実現方法が具体的に書けるということは、その証拠になります。
第三に、生涯の目標です。これは漠然としているでしょうから、具体的な方法はそれほど書かなくても大丈夫です。10年後から40−50年後の間に、目標実現のためにすべきことが見えていれば書けるとよいです。
関連するポイントとして、それらの目標を実現するために、これまでやってきたことを書くことがあげられます。すなわち、実現のためにこれから取る手段だけでなく、これまで取ってきた手段を書くことです。
すでに成功したことや、まだ成功せずに努力を続けていること。たとえば、関連する調べ物をしてきた(その結果、●●まではわかった。今後は▲▲を調べる見込み)とか、ボランティアに参加してきたとか。具体的な成果を示せるとベター。
これまでその目標のために時間をかけて努力してきたことを示すのが大事です。あなたが口だけでなく、熱意を行動で示す人間だと示しましょう
5,あなたにはそれらの目標を実現する能力があることを示す、その証拠を示す
それらの目標のために、あなたがこれまでどのように努力し、どのように成長してきたかを書きます。「この応募者はこれまで様々な努力をし、その結果、トビタテの奨学金にふさわしい資質や能力を獲得するほど成長してきた」。審査員にそう思ってもらうことが大切です。
あなたがその資質を獲得してきたといえる根拠を示しましょう。それは実績か経験です。
実績
もしあなたが誇れる実績をもっているなら、自己PRで示しましょう。大会での優勝や英検などの資格、継続したボランティア歴(●●を3年間やってきた、など)、学校での優れた成績などです
ここでのポイントは、それらの実績があなたの目標達成にどのように役立つかを示すことです。
たとえば、あなたが体操競技で世界大会に進出するぐらいの実績をもっていたとしましょう。あなたのトビタテなどの目標が「太平洋の海洋汚染を改善したい」だったとしましょう。体操競技の実績がその目標の手段としてどう役立つのかを示す必要があります。
あくまで、この自己PRはトビタテ留学にあなたがふさわしいことを説得するための手段です。すべての要素はその説得のために利用される必要があります。
よって、世界大会のような輝かしい実績がトビタテでの評価を高めるのにそのまま役立つとは限りません。あなたはあなた自身のトビタテなどの目標を達成する十分な能力をもっている。そういえるための根拠になるよう、あなたの「実績」を調整して利用しましょう。
逆に言えば、世界大会のような実績であっても、トビタテ留学応募の根拠として上手に利用できなければ、役に立ちにくいということです。
大半の人はそれほど傑出した実績をもっていないでしょう。それでも、このページで示してきた書き方のコツを知っていれば、普通の学生であっても、それらの世界レベルの学生にトビタテ応募では勝てるチャンスがあるのです。
あなた自身の「実績」がより小さなものであっても大丈夫です。重要なのは、あなたの目標を達成するための根拠として、それらを利用することです。小さな「実績」をいくつか探して、組み合わせて、積み重ねていきましょう。
経験
経験はいろいろあります。ボランティアやサマーキャンプだけではありません。いくつかあげてみましょう。
大家族の長男か長女として、たくさんの弟や妹の面倒をみながら、勉強して好成績をとってきた。ここから、時間管理と効率性の重要さを学んだ。
自転車屋さんでアルバイトをした。自転車の修理に興味を持ち、その仕組みに精通するようになった。工学への関心が深まると同時に、実際のものづくりの経験を積んできた。
以上のように、将来の目標に役立つようなどのような資質を、どのような手段で獲得してきたか。あなたの個人的なエピソードを根拠として、それを説明します。
※注意です。傲慢な印象を与えないようにしましょう。あなたは自分自身の活躍をアピールする必要がありますが、傲慢だと思われるのも問題です。
たとえば、他の人達とグループ活動して、成果をえたとしましょう。その成果があなた一人のおかげであるかのように説明するのは避けましょう。あなた自身の役割を示しましょう。
※経験の書き方については、こちらで様々な具体例を載せています。受かりたい方は参考にしてください。
トビタテ(高校生)の留学成果報告会のロングバージョン(画像をクリックすると動画が始まります)
応募書類の全体に関わる注意点:あなたが主に利用すべき審査基準を絞ろう
応募書類をつくるうえで、踏まえておくべき点があります。それは、上述の審査基準の一部だけを「主に」利用すればよいということです。主軸とするのは、2−3の審査基準にすればよいのです。反対に、すべての審査基準に合致するような内容にしないほうがよいことです。
なぜか。応募書類の字数制限が厳しいからです。
あなたは応募書類をもう確認しましたか?ホームページで確認できます。応募書類で書くスペース(紙幅)がかなり限られています。たとえば、自己PRでは、A4サイズ1枚だけです。これはだいたい多くて二千字くらいです。
上述の「求める人物像」の基準だけでも7つありました。7つの基準すべてに合致させるなら、一つの基準について300字未満で書く必要があります。書くことがなくて困っている人は、多く感じるかもしれません。しかし、受かるために内容を考えるなら、1つの基準で300字は少なすぎます。
よって、すべての基準に合致した内容をつくろうとすると、浅くて薄っぺらい内容になってしまいます。審査員の印象や記憶に残りにくいでしょう。
むしろ、それらの基準の中で、2・3この基準を選びましょう。それらを主軸として、書類の内容をつくりましょう。どれを基準として選ぶべきかは、あなたの性格や留学の目的、探求活動の内容によって決まってきます。
ちなみに、選ばなかった基準に全く触れてはいけないわけではありません。上手に関連付けられるなら、関連付けたほうが良いでしょう。
しかし、大事なのは、主軸とするのは2−3つくらいの基準に絞ったほうがよいことです。それらの限られた基準のもとで、内容を深めましょう。まずは「狭く深く」の内容をつくるのです。
そのうえで、他の基準にも上手に関連付けられるなら、そうすればよいです。「狭く深い」内容(2−3の審査基準)を基礎としながら、余裕があれば、「広く浅い」内容(残りの審査基準)を付け加えることになります。
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アメリカ留学の費用と返済不要な奨学金リストを紹介(2025ー2026年
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